Thursday, May 28, 2015

良い呪い、悪い呪い

今日は、ビースター立川校にてベリーダンス(オリエンタルダンス)レッスン!良い汗をかきました。

レッスンをしていると、ふと、キーワードになる一言、があります。


例えば「プロペラみたいに」「コンパスみたいに」比喩もあれば

「足の裏」「腹筋」そんな身体の部位のこと。
ほんの一言、引っかかる言葉があると、一瞬で生徒さんの身体の動きが変化します。勿論良い方へ。

そんなとき、人間の意識の力って凄い。意識とつながる身体の賢さって凄い。といつも感動します。

よく英語でAwaken your body、などと言いますが、本当に身体が「目を覚ます」という言葉がぴったりです。

私の言葉は、とっかかり。

これとは逆に、言葉や人の放ったメッセージが、ネガティブな作用を引き起こす場合もあると思います。

このことをとてもよく描いている、「呪詛抜きダイエット」(田房永子さん著)というコミックエッセイがあります。

この作品の中で、彼女はネガティブな言葉による心の縛りの事を「呪詛」と呼び、過去に受けた数々の「呪詛」が摂食障害(暴飲暴食が止められない)の大本の原因にもなっていた事を解き明かして行きます。

印象的な、彼女がエステに初めて行った時の一幕。

クリックすると拡大します。

エステティシャンに「田房さんのお尻のたるみ そうとうすごいですよね」

「いくら食事制限をしてもうちでセルライトをとらないと効果はないんですよ
田房さんレベルのセルライトだと特に..」

と脅されてしまいます。

酷い!なんだそのエステ!!とこの時点で本を投げそうになります。

しかし、考えてみれば、こういう種類の「呪い」メッセージは、べつだんエステに限らずとも割とありふれているように思います。

「xxでないあなたは駄目、xxにならないといけない」
「xx以外の方法は存在しない」

つまりその人を否定し他の道を塞ぐ事で、特定のサービスなり、物品なり、人なりに縋り付きたくさせるという方法ですね。

テレビやポスターや雑誌の表紙などの広告、時には人間関係の中でもあることだと思います..。

このエステから「つらい」と逃げた帰りに主人公は、素敵な「紅茶の試飲コーナーのお姉さん」に出会います。

熱心に紅茶の良さを語るお姉さんの温かさにホッとした主人公は

「この人ほんとに紅茶が好きなんだな 」


「エステの人はたしかにキレイだけど 足の太さや体重は みんな決まった形にならなきゃ行けないみたいな感じ 

私はこの人の方が可愛いし美しいと思う」

「私は私の気に入る容姿になればいいんだった」

と心の中でつぶやき、真っ青な顔から一転、笑顔を取り戻しています。


私はこの章を読んだ時に、
私のダンスの先生方と、「紅茶のお姉さん」が重なって見えました。見た目が、という事では無くて..  人を強迫観念で締め付けるよりも、熱意と、愛情(ダンスそのものと、生徒への)で温かく解きほぐしてくれる方々だったから、です。





不思議な物で、心がほぐれると、ふいに、今までは出せなかった力が出たりします。

魔法みたい。と思った事もあります。

これは「良い方の呪い」と言ってもいいかもしれません。

私も「良い方の呪い」が使えるようになりたいなあ..そんな想いもベリーダンス(オリエンタルダンス)を教えられる様になりたいと考えた理由の一つでした。♪










**********ニスリーンの2015年現在のベリーダンスレッスン*************
☆ヒラソル銀座ダンススクールBスタジオ
銀座駅徒歩5分(火)曜日20:35−21:35
ベーシック 


☆ビースター立川校
立川駅徒歩6分
毎週(木)曜日7:00-18:25
基礎
どちらも、ダンス未経験の方、ブランクがあって基礎からじっくりやりたい方、大歓迎です☆

Thursday, May 7, 2015

ベリーダンスを踊ると女性らしくなれるんでしょ?


こんにちは。ニスリーンです。

たまにベリーダンスを踊ると女性らしくなれるんでしょ?と聞いて下さる方がいます。
実はこれ、とっても難しい質問なんですよね。 




「女性らしさ」という言葉が意味するところはあまりに時と場合により違うから。


外見に関する事でも女性への期待や理想は、時代や国によりめまぐるしく変わりますよね。






・・・・土偶。



内面に関する事も
逞しい、包容力
機転が利く、賢い
忍耐強い、控えめ、
貞節、清純
細やか、真面目
柔軟、環境適応
情緒的、情動的 etc.




相反する要素が良く「女性らしさ」に挙げられます。
「女性らしさ」は捉え所が無く影を捕まえるようですが、それは社会が女性に求めることが状況に応じ移り変わるからでしょう。

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女性のダンサー/エンターテイナーは、このような女性への願望を特に投影されることが多い存在であることは確かです。

本場中東では特に、ベリーダンスは主流なエンターテインメントとして、より主流な「魅力的/セクシーな女性」像が求められる傾向にあるようですね。
その一方で、ベリーダンス(オリエンタルダンス)の大本になっているのはお祝いの場等で踊られる大衆の踊りであること、性別を問わずみんなが同じように踊るということもまた一面の事実です。



ヒップワークはアフリカ諸国全体に見られる特徴ですし、柔らかい手の動きはペルシャなど中央アジアや南アジアに昔から見られる動きです。
歴史を紐解けば、こうした動きを「女性」というジェンダーやセクシュアリティと強く結び付けた視点と、ヨーロッパによる中東植民地化の影響は、完全に切り離すことができない面があります。

この点については、男性ダンサーのパイオニアであるTarik Sultan氏が詳しく語っています。


また、ベリーダンス(オリエンタルダンス)を「男性らしさに反するもの」としてまなざす見方が、特に中東諸国での男性ダンサーの苦境につながっていたことも視野に入れる必要があるでしょう。





世界を見渡すと「女性」ではない素晴らしいベリーダンサーも沢山存在していますので、必ずしも、女性らしさとベリーダンサー(オリエンタルダンサー)の資質はイコールとはならないと私は認識しています。






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ただ私個人について言えば、踊り手としての旅路を通して、「自分が女性」ということも、より多面的に見つめる機会を得たと思います。
上記のように社会から期待される「女性らしさ」と、「自分らしさ」の重なる部分と、相いれない部分、その齟齬によって自分が今まで傷ついてきたことにも気付きました。
漠然と、意識すらせずに内面化していた女性はこうでなければいけないという思い込みに気付き、本当の自分はどんな人間で、どうなりたいのか、自分に問いかけることが増えました。
ベリーダンス(オリエンタルダンス)は基本的にはソロのダンスであり、個人の内面に向き合うことがしやすい表現方法なのだと思います。

何より、女性として/女性のようだとして、社会的な抑圧を受けながらも踊り続けてきた人々に支えられて、存続してきた踊りだということ。このことは、いつも私の心の中にあります。


Photographed by Carl Sermon








2015/05/07 公開

2018/11/25 加筆修正
2020/04/28 加筆修正
2023/9/16 加筆修正



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