こんにちは。ニスリーンです。
たまにベリーダンスを踊ると女性らしくなれるんでしょ?と聞いて下さる方がいます。
実はこれ、とっても難しい質問なんですよね。
「女性らしさ」という言葉が意味するところはあまりに時と場合により違うから。
外見に関する事でも女性への期待や理想は、時代や国によりめまぐるしく変わりますよね。
・・・・土偶。
内面に関する事も
逞しい、包容力
機転が利く、賢い
忍耐強い、控えめ、
貞節、清純
細やか、真面目
柔軟、環境適応
情緒的、情動的 etc.
相反する要素が良く「女性らしさ」に挙げられます。
「女性らしさ」は捉え所が無く影を捕まえるようですが、それは社会が女性に求めることが状況に応じ移り変わるからでしょう。
ーーーー
女性のダンサー/エンターテイナーは、このような女性への願望を特に投影されることが多い存在であることは確かです。
本場中東では特に、ベリーダンスは主流なエンターテインメントとして、より主流な「魅力的/セクシーな女性」像が求められる傾向にあるようですね。
その一方で、ベリーダンス(オリエンタルダンス)の大本になっているのはお祝いの場等で踊られる大衆の踊りであること、性別を問わずみんなが同じように踊るということもまた一面の事実です。
ヒップワークはアフリカ諸国全体に見られる特徴ですし、柔らかい手の動きはペルシャなど中央アジアや南アジアに昔から見られる動きです。
歴史を紐解けば、こうした動きを「女性」というジェンダーやセクシュアリティと強く結び付けた視点と、ヨーロッパによる中東植民地化の影響は、完全に切り離すことができない面があります。
この点については、男性ダンサーのパイオニアであるTarik Sultan氏が詳しく語っています。
また、ベリーダンス(オリエンタルダンス)を「男性らしさに反するもの」としてまなざす見方が、特に中東諸国での男性ダンサーの苦境につながっていたことも視野に入れる必要があるでしょう。
世界を見渡すと「女性」ではない素晴らしいベリーダンサーも沢山存在していますので、必ずしも、女性らしさとベリーダンサー(オリエンタルダンサー)の資質はイコールとはならないと私は認識しています。
ーーーー
ただ私個人について言えば、踊り手としての旅路を通して、「自分が女性」ということも、より多面的に見つめる機会を得たと思います。
上記のように社会から期待される「女性らしさ」と、「自分らしさ」の重なる部分と、相いれない部分、その齟齬によって自分が今まで傷ついてきたことにも気付きました。
漠然と、意識すらせずに内面化していた女性はこうでなければいけないという思い込みに気付き、本当の自分はどんな人間で、どうなりたいのか、自分に問いかけることが増えました。
ベリーダンス(オリエンタルダンス)は基本的にはソロのダンスであり、個人の内面に向き合うことがしやすい表現方法なのだと思います。
何より、女性として/女性のようだとして、社会的な抑圧を受けながらも踊り続けてきた人々に支えられて、存続してきた踊りだということ。このことは、いつも私の心の中にあります。
2015/05/07 公開
2018/11/25 加筆修正
2020/04/28 加筆修正
2023/9/16 加筆修正
◆関連するブログ記事
No comments:
Post a Comment